『コーチング』読後感

コーチング?言葉と信念の魔術コーチング?言葉と信念の魔術
(2001/09)
落合 博満

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選手としては歴代屈指の強打者、監督としては’07シーズンで中日を日本一に導いた名将落合博満氏の著作。素材は野球だが、一般の事象にも敷衍できる考え方が満載の本である。

彼の中日監督就任の第一声は「こちらから指導はしない。わからないことがあったら聴きに来い。」というような内容のものだったと記憶している。これこそまさにコーチングの神髄。人から押し付けられたモノは結局自分の身にはつかない。自分で精一杯努力した上で生じた迷いや疑問を解消するためにアドヴァイスを求める。これこそが正しい「指導のされ方」なのだ。

自分の過去の経験を振り返ってみても、ただぽけーっと授業を聞いていただけの科目は一切頭に残っていないし、自分でチャレンジしてみて、その上で指導を受けた事柄というのは知識にしてもスポーツの技術にしてもきちんと自分の血肉になっているという実感がある。

優れたコーチという存在を会社の上司に当てはめて考えてみると、部下にある程度自由な裁量を持たせて行動させ、その上で間違っていたり、伸び悩んでいたりした時に適切な指導を与えられる人物ということになろうか。

著者も文中で書いているが、自分の方法を部下に押し付け、その方法になじめないと「ダメ社員」という評価を下す上司のなんと多いことか。まあ、人間というのは成功体験の呪縛からはなかなか逃れられないものだし、数多くの成功体験をしている人間が昇進して行く訳だから、上司というのは過去の成功体験で雁字搦めになっている存在であり、ある程度は仕方ないんだが・・・。

それにしても落合氏は外見に似合わず(失礼)緻密な考え方をする人なんだということがよくわかる著作である。自分の現役時代の実績(すなわち成功体験)だけに依存することなく、きちんと理論武装した上で選手に接し、その力を最大に引き出し、チームを勝利という目的に向けてまとめあげて行っている。ただの「俺流(=わがまま)」人間ではないということだ。なかなか面白い本だった。

テーマ : プロ野球
ジャンル : スポーツ

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